気になるコトバ 「マグロ」

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 マグロが将来食べられなくなる!?そんな話を聞いたことがある人もいるかもしれません。今、マグロの漁獲量は減ってきています。いや、マグロだけではなく水産物全体が取れなくなってきているのです。


 理由は、鳥インフルエンザやBSE問題で世界中が魚を消費するようになったことや、人間の活動が及ぼす環境への影響などが原因です。
 特にアメリカのSUSHIブーム、急速な発展を遂げ、輸出国家から消費国家になりつつある中国が、マグロを消費するようになった影響でマグロ獲得競争が激化し、それが世界のマグロ消費量の約4割を占める日本の食卓にまで影響を及ぼしているのです。
 単純に計算して日本の人口は約1億3000万人で、アメリカと中国の人口は合せて約16億人です。マグロがこれらの国の食文化として根付いたとき、そこに巨大なマーケットが誕生することは想像に難くないでしょう。
 日本で消費されるマグロはどこで獲られているのかというと、大西洋やインド洋など日本から遠く離れた海域で獲られることが多いです。いわゆる「遠洋漁業」と呼ばれるもので、1年から2年かけてマグロを獲りに行くのです。
 世界的な漁獲量と消費量の増加による枯渇が心配されるマグロですが『大西洋マグロ類保存国際委員会』(ICCAT)において、地中海を含む大西洋東部のクロマグロ漁獲量を2010年までには32,000t から25,500tへ2割削減することが決定されています。当然、日本の漁獲量にも影響します。この規制によって漁獲量が減ればマグロ獲得の競争はより激しくなり、価格の高騰が起こると考えられます。
 さらに、原油価格の上昇がマグロ漁業に深刻な影響を与えるのです。遠洋漁業に行くには当然、遠くまで行くための燃料が必要です。1年、2年かけて漁業を行うのに必要な燃油は、1000キロリットルとも言われています。原油価格の上昇は、漁業の収益を著しく悪化させるのです。さらにコスト上昇を価格に転嫁させることが現在のところ難しく、原油価格の変動によって日本のマグロ漁業が壊滅的打撃を被ることが現実的な問題として横たわっています。
 古くから日本食はマグロと付き合いがあり、なんと縄文時代の貝塚からマグロの骨が出土しています。しかし、マグロが普及したのは意外にも江戸時代でした。きっかけは沢山獲れたマグロの腐敗を遅らせるために、その身を醤油づけにした「ヅケ」が握り寿司のネタとして使われ出したと言われています。
 日本は世界一のマグロ消費国です。私たちは食に対する姿勢を見直さなくてはいけないのでしょうか。確かに、恒久的にマグロが獲れるように漁獲水準を定める、生態系維持のための努力は必要でしょう。しかし、国際的な問題、競争、社会の仕組み等、課題が沢山あります。果たしてマグロが枯渇する前に人間が自重することが可能でしょうか。それとも無くなる前に、と今のうちにマグロを食べますか。
文責 益子紘行