気になるコトバ 「インターネット供養システム」

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 クリック一つで住職が現れる画期的読経システム。灯明、供花も供物も全てマウス操作で可能。親類縁者友人知人etc…。大切な人が亡くなった時、あなたはどの様に供養しますか?今回の気になるコトバでは、デジタル社会における新しい供養方法を紹介する。


 兎にも角にも、まずは体験してみて欲しい。Googleで『インターネット 供養』と検索して出てくるサイトの上位いずれかに無料供養体験が可能な有難いサイトがある。サービス提供元によって、デザインなどの違いはあるが大まかな機能は同じである。大体は画面中央に仏壇或いは墓標が鎮座していて、周囲にボタン(読経、遺言読み上げ)やアイテム(供物や花)が並んでいる。表示されないという人はFlash Playerを最新版にアップデートする必要があるかもしれない。さて、利用した感想は、如何だっただろうか。
「えぇ?お墓!?普通お墓って遺体を埋めてその上に建てるものじゃないの?」
 その指摘はあながち間違ってなかったりする。遺体を埋めた場所の上に墓を建てる葬法は『単墓制』として存在しるし、現代では一般的である。だが、今回のインターネット供養で用いられている葬法は、『両墓制』と呼ばれる葬法である。これは単墓制と対になっていて、遺体を埋める場所と墓を建てる場所を別々にする葬法である。納骨は納骨で別個に行なう。
 なぜ、インターネットなのか。それは、1つに場所を取らないことが利点として挙げられる。仏壇は場所をとる。一軒家ならまだ良いが、賃貸住宅など日本の住宅にそのような有難いものを置く場所は無い。また、インターネット供養では単墓制とは違い納骨だけで済む(納骨さえしなくても良い)ので墓所そのものの場所も取らない。都心の墓所問題(墓所が無い、値段が高い)の解決策の一つである。2つ目は、パソコンや携帯電話などの端末さえあれば何処からでアクセス(お墓参り)が出来る点だ。お墓参りのユビキタス化である。
 
 サイバーストーンという、おそらく初のインターネット供養システムを作った会社が出来てから12年近く経つ。ドットコム企業であるが、全く浸透していない。浸透しない理由は、幾つかある。そもそもほとんどの人が存在を知らないという点がある。また、価値観の問題もある。インターネットで供養されたい、したいだろうか。おそらく「なんか嫌」となる人、他の葬法が良いという人がいるであろう。
さて、どうすれば普及出来るのか。比較的普及が進んでいる中国を参考にしてみよう。
 中国では日本に比べてインターネット供養が民間に浸透している。その背景には、墓地が死者数に追いつかず、墓地不足状態であるという社会問題が存在しているそうだ。日本でも全く同じ問題が発生しているのにも関わらず、日本よりも墓地用地問題が顕在化している理由はなんだろうか。
 日本の人口密度は337人/km²である。対する中国は140人/km²である。このデータだけを見ると日本の方が土地問題が起きやすい様に見えるが、次のデータを合わせると話は変わる。日本の毎年の死者数は約100万人であるのに対し、中国の毎年の死者数は約800万人にも達するのである。比率を見れば明らかだ。問題はそれだけではない。日本では民間が法律を順守し死者を荼毘に付すのに対して、中国では民間に儒教の影響が強く及んでいるため土葬率は30%近くにも達している。中国も法律で火葬が義務化されている。因みに日本の土葬率は1%強である。
 その結果、中国では墓地用地が足りず、政府自らが散骨後、ネット供養を行うことを奨励している状態なのである。
【※因みに脱線するが、遺骨の処理や散骨方法も多様にある。宇宙葬・庭園葬・フリスビー葬・珊瑚葬・絵画葬・コンポスト葬・冷凍葬・月面葬(月面散骨)・桜葬・ダイヤモンドにするetc…。】
 国が奨励するレベルの問題にならなければならないということだろうか。ただし、そのような状態になった時、一企業の手に負える問題では無くなる。やはり普及は難しいのだろうか。発想自体は悪くないと思うのだが、今後は浸透していくのだろうか。
文責 杉本正純