気になるコトバ 「KY」

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 “KY”という言葉を報道番組でよく聞く。この言葉が新語として話題となったのは1年前。なぜ、いまだに頻繁に報道されるのだろうか。


 “KY”とは、そもそも『空気が読めない』と言う言葉を略したものらしい。本年度版の発表が行われたユーキャンの新語・流行語大賞に2007年ノミネートされたことで広く一般に知られるようになった。
 アルファベットを利用した頭文字略語は、欧米では一般的であり例えば欧州連合“EU”も『European Union』の頭文字略語である。ちなみに、日本でも“EU”と呼ばれているが、これは当然英語圏での略称であり、フランス語圏では“UE”、ギリシャ語では“EE”となる。日本でも旧帝国海軍の連合艦隊のことを“GF(Grand Fleet)”と記すなど、歴史は古い。“KY”と趣きを同じくするものとしては“MMK(もてて もてて こまる)”などが昭和期には使われていた。 
 我が国の総理大臣が“KY”と呼ばれ始めたのは、ちょうどその言葉の隆盛の時、政権を担当していた安部晋三第90代内閣総理大臣である。自身は“美しい国づくり内閣”と呼んだが、発足直後から“お友達内閣”・“論功行賞内閣”と呼ばれていた。“KY”と呼ばれ始めたのは政権後期からであるが、その組閣時点から“KY”だったのかもしれない。
 大きな事を成すためには、“KY”であることは必要かもしれない。人の気持ちを慮ってばかりでは優柔不断なことしか出来ない。安部元首相はあるいは大成も有り得る性質を持っていたのかもしれない。
 第91代内閣総理大臣は、『急に 辞めた』総理大臣だ。福田前首相も“国民の声”に対して“KY”だった。そして、2008年9月24日。内閣改造直後、一度の国会論戦も経ないまま辞職する。内閣改造直後と言う、殆どの人が何の前触れも感じられない中の辞職だった。
 そして第92代内閣総理大臣、現内閣総理大臣麻生太郎氏だ。先の二代にも増しての“KY”である。経済通を自認しながらの“KY(経済が 良くわからない)”首相。選挙の顔を期待されながら“KY(解散 やれない)”首相。そして、一時期麻生首相を表すために良く使われた“KY(漢字 読めない)”首相。経済については「株を満期まで持っていれば・・・」と言う発言で経済学だけでなく、経済その物の構造を知らないことを露呈し、今になってみれば、もっとも支持率の高かった冒頭解散が出来ず、高校生レベルの漢字すら読めないことが明らかになった。そして、先の具体例からもわかるように勿論所定原初の意味での“KY”でもある。
 日本における2大政党のもう一方、民主党にしても“KY”である。小沢代表は“KY(健康状態が 良くない)”と言われているし、党として“KY(決めきるところまで やれない)”政党である。任期を満了しても、来年の今は衆議院選が行われた後だ。ちょうど今頃、年末には政治・経済が“KY(去年よりも良くなった)”と言えるようになっていることを切に祈っている。
 “KY”の内容は殆ど、報道から取ったものだ。言葉遊び以外の何者でもない。面白おかしく国民の興味を得ようとする報道機関の行動も理解できるが、その時間を使ってもっと実りある報道をしてもいいのではないかとも思う。
文責 岩出 和也
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