気になるコトバ 「有機ELディスプレイ」

yukiel.jpg
メディアを通しても良く耳にする技術、有機EL。先日見た一際薄く、高画質な有機ELテレビを形作る技術を調べてみました。


〇有機ELとは?
 有機物質に電気を流すことで、発光する現象のことである。
有機物質を利用するという点において、夏の夜に光るホタルの発光現象に似ている。この発光現象を、電圧をかけることで、人工的に起こし発光させる。この技術を応用した有機ELディスプレイは、現在の液晶やプラズマ方式に代わる次世代のディスプレイ技術として期待されている。
〇長所
 従来の液晶やプラズマと比較して、高画質・低電力・薄型化などの長所があるが、最も特徴的なのは薄さである。先日、2007年12月よりソニーによって市販された世界初の有機ELテレビ「XEL-1」を見た。最も薄い部分で3mmという薄さを誇る。これは、有機ELディスプレイが発光するパネルと2枚のガラス基板という単純な構造をしていることに由来する。それに比べて液晶ディスプレイは、液晶パネル単体では発光しないので、パネルの後ろにバックライトが必要である。だが有機ELは、パネル単体で発光するのでバックライトのスペース分薄くなる。ちなみにガラス基板を削ればさらに薄型化が可能であるということで、実際に4月に東京ビックサイトで開かれた「Display2008 フラットパネルディスプレイ展」でソニーは、ガラス基板を限界まで削った薄さ0.3ミリというもはや紙のようなパネルを展示して参加者の注目を集めた。さらにガラス基板ではなくプラスチックなど柔らかい素材を使用することで曲がるディスプレイも試作・発表されている。
 前述のとおり、有機ELディスプレイは、パネル自体が発光するのだが、逆に電圧をかけなければ完全な黒となるので高いコントラストを表現できる。また電圧をかけると、瞬間的に発光するので残像のないなめらかな映像を映すことも可能である。しかもこの電圧は、蛍光灯と同じ原理で発光するプラズマディスプレイと比較して消費電力が少ないので、地球にやさしいエコなディスプレイといえる。
〇当面の課題
 良いことばかり並ぶようであるがもちろん欠点もある。寿命の短さ・大型化の困難・価格の高さなどが考えられる。これまで一番の課題となっていたのは、寿命の長さであったが、研究が進んだことで数万時間とテレビの使用に耐えるものが出てきている。当面の課題は、大型化と価格の高さだと考えられる。前出の「XEL-1」は11型と、ノートパソコンと比較しても、かなり小さい上にメーカー希望小売価格は20万円となっている。20万円もあれば、40型近いサイズの液晶・プラズマテレビが買えてしまうので、そちらになびく人は少なくないだろう。
〇将来性
 液晶やプラズマもそうだが、表示技術が生まれてから山積していた課題を時間をかけて解決しつつ、現在まで普及してきた。次世代のディスプレイとして期待されている有機ELディスプレイだが、ようやくテレビとして発売されたのはつい昨年のことである。技術的にも市場的にもまだまだこれから伸びていくだろう。「XEL-1」を作ったソニーもすぐには有機ELが液晶に取って代わることないと判断し、当面は液晶に軸足を置くと製品発表時にコメントしている。しかし、ソニーを始め各社が有機ELの将来性を見込んで投資・研究開発中である。何年後かはわからないが、必ず店頭を賑わす商品になると期待できるものが有機ELディスプレイにはある。
文責 川崎翔