ビットワレット 宮澤氏

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今回は、近年急速に普及している電子マネー「Edy」を運営・推進している、ビットワレット株式会社から、執行役員常務企画・広報担当業務本部長である宮澤和正氏をお招きし、講義を行なって頂いた。
澁澤ゼミでは、電子マネーを研究している学生も多く、今年の海外視察でもベルギーのバンクシス社を訪れたり、ソニーの橋本勝憲氏を外部講師としてお招きしてきた。今回は、Edyの実情、展望について、企業側の視点での話を聞くことができた。


○ビットワレットについて
元々はSONYの社内ベンチャーであったが、家電、通信、金融、自動車等の幅広い業界からの出資により、2001年1月に設立された。これだけ幅広い業界からの出資は、企業としてはかなり珍しい。
事業内容はプリペイド型電子マネーサービス「Edy」の運営、及び推進である。
○Edyについて
Edyは、あらかじめカードに現金をチャージし、支払い時にカードリーダーにEdyをかざすだけで決済ができる、「プリペイド型電子マネー」である。2001年11月にサービスが開始され、累計発行枚数は2300万枚(2006年11月時点)を超え、日本で最も発行枚数の多い電子マネーである。利用件数も年間約1億8000万件以上利用されており、現在も利用率は上がり続けている。
その利用率向上の背景には、携帯電話、社員・学生証、ポイントカード、キャッシュカードなど様々な媒体にEdy機能が搭載されるようになったことと、コンビニを始め、スーパー、デパート、飲食店、アミューズメント施設など、利用可能店舗の充実が挙げられる。
Edyには、SONYが開発した非接触ICカードのFeliCaがベースになっているため、様々なアプリケーションを組み込むことが可能である。
例えば、社員証にEdyを搭載した場合、食堂での支払い、勤怠管理、入退館管理、パソコン認証など一枚の社員証で、様々なシーンに対応できる。これがEdyが他の電子マネーと決定的に異なる点である。
Edyは、ユーロ、ドル、円の頭文字から「Edy」と名づけられているように、将来的には海外進出も視野にいれている。
○普及戦略
電子マネーを普及させる上で以下の3つが重要になってくる
・持つ必然性を作る
電子マネーはせっかく利用できる店舗が増えても、その時にカードを持っていなければ、現金で決済されてしまう。なので、常にカードを持ってもらわないと意味がない。
先にも挙げたが、様々な媒体にEdy機能が搭載できるようになっている。携帯電話、社員・学生証などは常に所持しているものなので、そこにEdyが搭載されることは非常に大きなメリットである。
・使える場所を増やす
現在、コンビニエンスストアを始め、スーパー、ドラッグストア、百貨店、アミューズメント業界など幅広い業界に導入され、2006年11月現在で、全国約42,000店で利用ができる。また、全日空ではEdy機能付きのマイレージカードを使うことにより、自宅から予約して、そのまま搭乗が可能となる「Skip」というサービスも始まっている。
・インセンティブを付ける
電子マネーサービスを行なう上で、インセンティブの付与は非常に重要である。どんなに利用機会を増やしたところで、現金に勝ることは難しい。
そのためEdyでは、店舗と協力しながらポイントサービスを実施したり、買い物をするとマイルが貯まり、その貯まったマイルをEdyに交換できるサービスを実施している。また、Edyの導入により、客単価や売り上げがアップするというデータもあり、店舗側には集客ツールとしても導入され始めている。
○今後の展開
将来的には、少額決済市場を全て電子マネー化することが目標である。
今後は、通常の支払い方法だけでなく、バーチャル・モバイル世界での支払いにも対応させていく予定である。例えば、テレビにEdyリーダーを搭載し、テレビショッピングに対応させたり、音楽の購入や、チケットの購入にも対応させていきたいという。
また、今後マーケティングサービスや、コンサルティングサービスなどEdyに付帯されるサービス展開を行なっていくとのことである。
○まとめ
現在、Suicaやnanaco(2007年導入予定)などのプリペイド型の電子マネーや、QUICPayやiDなどのポストペイ型(後払い式)の電子マネーなど様々な電子マネーが利用されている。今後、リーダーライタの共通化も決まり、ますます電子マネーの普及は進むと考えられる。そういった中で、「プリペイド型」と「ポストペイ型」をどのように住み分けて利用するかが重要になってくる。
クレジットカードのような後払い式に比べると、プリペイド型は先払い式で、どうしても利用されにくい。しかし、Edyのマイル交換サービスなど様々なインセンティブが付くことにより、その利用者も増えてきている。今後、その人の生活シーンに合わせたカードを選択でき、どんなシーンでも自由に使い分けできることが望ましい。
また、首都圏・都市部では急速に普及しだしているが、まだまだ地方では導入されにくいのが現状である。そして、電子マネー決済に関連する法整備も整っておらず、より安心に利用するためには、より一層のインフラ整備が必要である。
今回、非常に貴重なお話を聞くことができ、宮澤氏には本当に感謝しております。
また、今回の企画にご協力してくださった事業戦略部の大上氏にもこの場を借りて、お礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。
文責 小金井巧