
イギリスロンドン証券取引所では、建物の歴史、証券取引の歴史、現在のシステムなどを視察しました。ディスプレイの中の白熱した取引、屋上から眺める夕暮れの町並み・・・様々な貴重な体験ができました。
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イ ギ リ ス
2003年(平成15年)11月27日~29日
11月27日 イギリスへ 成田空港からイギリスのロンドン・ヒースロー空港に着くまで約12時間。その後、バスに乗り、一路ホテルへと向かった。着いた後は各自、夕飯をとったり観光したりとそれぞれの時間を楽しんだ。
11月28日 視察:ロンドン証券取引所
2日目はバスで、世界の金融街シティに立ち並ぶロンドン証券取引所に視察に行った。そこで、実際に証券取引所で働いている人から建物の紹介・ロンドン証券取引の歴史・取引のシステムについて詳しい説明を受けた。
●ロンドン証券取引所の建物紹介
現在のロンドン証券取引所の建物は、株の売買が立会場で取引されていた1966年当時、建物の老朽化、建物内の人口インフラの影響を受け、エリザベス女王認可の下、1967年に完成し、1972年に取引がスタートされた。この建物は231フィートの高さを誇る26階建ての、ロンドンで有数の高層ビルのひとつである。
階段やエスカレーターに面しているドアにオートロック式の鍵が取り付けられていて、カードで開くようになっている。このカード式の鍵は社員が各自持っている。
建物内にはメディアセンターなどが整備され、実際にBBC、CNN,CNBCやSky News等、世界の大手テレビスタジオキャスターを置き、常に情報を発信できる状況を整えている。視察中もスタジオ見学中に放送が始まるという一場面があった。
●ロンドン証券取引の歴史
大航海時代と呼ばれた1553年、イギリスの冒険家達は船を使った貿易をさかんに行っていた。しかし、船を調達するにはたくさんの費用がかかる上、冒険家達が無事に帰ってくるとも限らない。そこで、冒険家は証券を買ってもらって資金を調達し、無事に帰ってきた際にその収益を、証券を買ってくれた人たちと山分けした。これが証券取引の始まりになる。
やがて証券取引が活発化し、証券業者のような職業が登場してきた。彼らは、王立取引所で取引が行っていたのだが、あまりに騒々しいため、追い出されてしまった。そこで、追い出された150人の証券ブローカーが1760年、証券の取引や情報の交換が頻繁に行われていた「Jonathan's Coffee House」というお店で、会員制クラブを結成した。そして、1773年会員制クラブが証券取引所(Stock Exchange)に改名し、1802年、ロンドン証券取引所が設立された。
証券取引の方法は、1801年~1960年まで立会場で取引され、1986年まで契約はすべて口頭で行われていた。そこで「私の言葉は私の証書である」という言葉が生まれた。このシステムは、立会場に行けば取引したい人が必ずいるという面はいいのだが、会員しか中に入って黒板に書いてある株の値段を確認することができず、取引人は立会場付近に引っ越すので不動産価格が高騰してしまった。そのようなことを失くすため、黒板を電子化し電話での取引を可能にした。結果として、全国での会員数が増え、今では日本を含む36種類もの通貨で取引している。
●ロンドン証券取引のシステム
ロンドン証券取引所 -SETS(ロンドン株式自動取引システム)-
*マーケットメーカー制からオーダードリブン制へ
1997年10月20日にこれまでのマーケットメーカー制から、SETSといわれるオーダードリブン制に基づく取引システムへ移行した。それにより場立ちが廃止された。(日本では場立ちと新システムを並列させていた時期があり、ニューヨーク証券取引所では未だに場立ちがある。)
*導入の理由
1.マーケット・メーカーの気配値が実勢を反映していない
2.投資家の取引システムに関する需要の変化
3.取引所ルールが競争を歪めているという公正取引庁からの指摘
4.オーダー・ドリブン制を採用した他の取引所との競争
※マーケットメーカー:マーケット・メーカー制はそれぞれ特定の銘柄のマーケット・メーカーとなった証券
会社が売りと買いの気配値(呼び値)を常に提示し、売買注文が出されるのを待つ。そして、一定の規模の注文に必ず売買に応じることで市場の流動性を確保するもの。この売買気配値を常に提示し、売買注文が出るのを待ち、出された注文に応じることをマーケット・メイク(値付け業務)という。
※オーダードリブン:競争売買によって売買契約が締結される市場。「注文駆動型」とも言う。日本の証券市場は、「価格優先の原則」と「時間優先の原則」によって売買契約が締結されている。価格優先の原則とは、売り注文については値段の低いものが値段の高いものに優先して売買契約が締結され、逆に買い注文については値段の高いものが値段の低いものに優先して売買契約が締結されること。一方、時間優先の原則とは、同じ値段の注文については、時間的に先に出された注文の売買締結を優先して行うというもの。これらの原則に従って売買注文が成立していくわけだが、こうした市場のことを「オーダー・ドリブン市場」と言う。
*導入の結果
1.取引の透明性、効率性の向上
2.ロンドン証券取引所の会員であれば、世界中どこからでも取引が可能。
3.ドル対ポンドの為替変動を見る事が可能。
SETSのシステム
FTSE350構成銘柄についてSETSによる取引が可能になっている。買いたい株があったらパソコン画面の売値をクリックするだけで電子的に売買が成立する。
SETSの稼働時間は8:30に自動取引開始し、16:30に自動取引終了する。
終値は取引終了10分前の16:20から取引の制約が始まり、16:30まで売値、買値ともにそれぞれの平均値で取引される。16:30から16:35までオークション時間が設けられる。理由は取引終了時の株価を元に終値を出すと、取引終了直前に不自然な大取引がおこなわれる可能性があるので、終値に不当な影響を出さないようにするために設けらているのである。
世界の中のロンドン証券取引所
*ロンドン証券取引所を中心に、大規模な投資家基盤が築き上げられているので資金が集まりやすい。
世界の企業がロンドン証券取引所に上場を果たそうとする理由はヨーロッパの資本にアクセスできることや、ロンドン証券取引所を中心に大規模な投資家基盤が築き上げられているので資金が集まりやすい。さらに世界中の人が株主になれることは知名度・マスコミの効果が高く、宣伝効果が大きいからである。そのため60カ国以上の企業が上場している。日本の企業の例では、2002年3月にNTT DoCoMoが上場した。上記の理由で上場を果たしたが同業者のVodafoneと同じ土俵で勝負をするという決意表明がにじみ出ている。
*優良企業がニューヨーク証券取引所より多く上場
*36種類の通貨(ユーロも含む)でも決済可能
そのためロンドンで買ったものを翌日他国で売ることが出来るということになる。
それに対しニューヨーク証券取引所は決済をドルでおこなわなければいけないという制約がある。70パーセントがポンド以外の通貨取引でおこなわれている。
●ロンドン証券取引所を視察して
ロンドン証券取引所の建物・歴史・取引のシステムについて説明を受けた時、実際にパソコンを使ってわかりやすく説明してくれたのだが、そこで使われていたのはやはりWindowsのPower Pointだった。つまり、イギリスという島国まで広くWindowsが流通していることに他ならない。
また、リアルタイムで取引が行われているところをディスプレイにうつして見せてくれた。ロンドンの証券取引は場立ちではないので、人々が顔をつき合わせた白熱した取引の現場を見ることはできないが、目の前のディスプレイの中では静かな白熱した取引がたしかに行われているのだ。刻一刻と時間とともに経済が動く様を肌で感じることができ、ゼミ生一同思わず息を呑んだ。
それだけでなく、証券取引所側では、ゲームと豪華賞品まで用意してくれていたのだ。ゲームというのは、その日のニュースを参考にある企業の終値を予測する、というものだった。終値は最後の最後で変動することもあり、ゼミ生は最後の瞬間まで気が抜けなかった。結果は、豪華賞品のシャンパンは2年のゼミ生が手に入れることとなった。
プレゼンテーションを終えるとアフタヌーンティーが用意されていた。紅茶やオレンジジュース、ケーキやサンドイッチがたくさんあり、日本では味わうことのできない本場の味を堪能することができた。
その後、メディアセンターと屋上へと案内された。メディアセンターではゼミ生が、実際に放送する時に使われるキャスター席に座らせていただき、それはまるでこれから放送を始めるかのようであった。そして屋上では、古代の文化と近代の文化の調和が織り成すイギリス独特の夕暮れの町並みを一望することができた。まるで映画のワンシーンであるかのようだった。
このような、日本では絶対に経験することができない貴重な体験をしたことで、ゼミ生にとってこの視察は何事にも得がたい大切な思い出になったことと思われる。
文責 高橋(光) 猪川 田中(健)


